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車のすぐ横の舗道に円形のひびが入った。まるで巨人の足跡のように、それは続けて二つ三つとこちらに近づいてくる。
「………っ」
刑事は千朗から腕を離し、そのひび割れを見つめた。
「まさか、」
彼は首を振った。それからゆっくりと千朗の方を振り返った。
「まさか………」
刑事の顔の上にひきつった笑みが浮かんでいる。だが笑いの形をしているのは口元だけで、
目は―――
「だから嫌だったんだ……そんな……目で見るから……。だから近づいてほしくないって。
そんな目で見るなよ、ねえ、刑事さん、信じないんでしょう? 信じないよね?」
刑事の口が大きく丸く開かれた。
バ
それから少し横に広く。
ヶ
小さな円形に。
モ
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