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男
「ごめんな。」
男は、まだ、出来て間もないような、ピカピカの墓の前に座り、線香と蝋燭にライターで火をつけ、
静かに両手をあわせて、目を閉じた。
どのくらい時間がたったのであろうか。男は、手を合わせたまま、しばらく動くことはなかった。
男
「もっと、お前達を信じてあげたらな。でも、ようやく、気持ちにケリがついたよ。」
男は、そう呟くと、ゆっくりと、目を開けて、立ち上がった。
男
「これから、俺がやることを、天から、見てておくれよ。これが、俺なりの、ささやかな、償いだ。このやり方が、正しいかは、わからないけど。
でも、お前達には、分かってほしい。
決して、お前達の死は、無駄にはしないから。
全てが終わったら、また、報告に来るよ。
その時は、全てが、変わっているはずだ。」
男は、決心した顔つきで軽く頷き、墓場を後にした。
中年の男性
「とうとう、やるんですね?」
墓地から出てきた男に、中年の男性が車の窓から顔を出して声をかけてきた。
男
「ああ。そうだ。今から、やるぞ。」
男は、中年の男性の質問に、一言、そう返事をした。
中年の男性
「分かりました。ここからは、簡単なことではないと思います。どれくらいの時間がかかるかもわかりません。」
男
「わかってる。もう、決心はついている。なんなら、俺だけでも大丈夫だ。今まで世話になったな。ありがとう。感謝している。」
中年の男性
「いやいや、何を言っているんですか。これは、元々は、俺が見つけたことなんですよ。最後まで、一緒に戦いましょう。っていうか、絶対に最後まで一緒にいますからね。」
男
「わかった。ありがとう。」
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