15  ええいっ、もぉ!  (続き)

4/6
前へ
/37ページ
次へ
「ありがとう。そう言ってくれて、俺も嬉しいよ。 でもさ、俺なんかが相手じゃなければ、つぐみはもっと……」 ところが、俺が言い終わる前に、彼女の鋭い声がそれを遮った。 「嫌ですっ!」 あまりにも大きな彼女の声に、俺は思わず視線を上げた。 すると目の前では、いっぱいの涙を溜めた彼女の目が、 真っ直ぐに俺を見つめている。 「私は……、私は、潤ちゃんに出会えたから、初めて恋が出来たんです。 こんなに変でドジな私を、潤ちゃんが好きになってくれたから、 私は、今まで考えもしなくて、諦めてもいた幸せを味わえたんです。 だから、潤ちゃん以外の人と、これ以上の幸せになんかなれない」 言いながら、彼女の目からは、再びポロポロと涙が溢れてきた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加