16  もぉ、ドッキドキ!

3/26
前へ
/37ページ
次へ
「実はさ、俺たち、結婚することにしたんだ」 出だしは、まずまず順調に滑り出した。 そして、この切り出しを最初に、彼女の「不束者ですが」の挨拶。 なぜか涙を流して盛大に頷きながら喜ぶ、祖母と母。 「私のお陰だよね。ね?」などと、キャアキャア騒ぐ妹。 そして、そんなヤツらを横目に、 俺は、父となんとなく目を合わせて頷き合う。 こうして、全てが、つつがなく終わりを告げるはずだった。 ところが、そんな一連の会話を交わした後。 上機嫌の母が、 「これから忙しくなるわね。お式とか、新居とか、色々探さなきゃだしね」 などと、まるで自分が結婚するようにワクワクしつつ言われたのに、 ついポロッと言ってしまったのが、きっかけだった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加