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「実はさ、俺たち、結婚することにしたんだ」
出だしは、まずまず順調に滑り出した。
そして、この切り出しを最初に、彼女の「不束者ですが」の挨拶。
なぜか涙を流して盛大に頷きながら喜ぶ、祖母と母。
「私のお陰だよね。ね?」などと、キャアキャア騒ぐ妹。
そして、そんなヤツらを横目に、
俺は、父となんとなく目を合わせて頷き合う。
こうして、全てが、つつがなく終わりを告げるはずだった。
ところが、そんな一連の会話を交わした後。
上機嫌の母が、
「これから忙しくなるわね。お式とか、新居とか、色々探さなきゃだしね」
などと、まるで自分が結婚するようにワクワクしつつ言われたのに、
ついポロッと言ってしまったのが、きっかけだった。
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