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……卒業式。
小さな花束を用意した。
黄色の薔薇が三本だけの、花束。
あの人なら、きっとわかってくれる。
そう信じて。
最後のホームルームが終わり、別れを惜しむ生徒でごった返す校庭。
そんななか、あの人を探して歩いた。
でも、どこにもいなくて。
……もしかして、あそこかな。
毎日のように通ってた資料室。
いってみるとあの人はいた。
「先生」
「……?」
窓から校庭を見下ろしていたあの人――先生が振り返り、私に気が付くと薄く笑った。
「どうかしましたか?」
「あの、……これ」
用意していた花束を押しつける。
戸惑い気味に受け取った先生が口を開く。
「どういう……」
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