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そして仕事をしながら、私が退屈しないようにか、どうでもいい話をしてくれた。
最近読んだ本の話とか、育ててるサボテンの話とか。
そういえば、花言葉の話題になったのも、本の話からだったような気がする。
いつもただ、近くに黙って座っている私を、先生は邪険に扱うことは一度もなく、優しい時間だけが静かに流れてた。
ずっとこの時間が続くことを無駄と知りつつ願ったものの、やはり別れはきてしまった。
卒業式の翌日。
朝起きたらみっともないくらいに瞼は腫れていた。
鏡の中の私に苦笑い。
まだ、受験は残ってる。
うかうかしてられない。
結局本命の大学には受からず、滑り止めで合格していた短大に進むことを決めた頃。
……高校から手紙が来た。
中身は三次募集している大学の一覧と、一筆箋が一枚。
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