アプリの世界と現実世界との狭間

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それに、記憶がある鈴木が現実世界に戻っても丈夫なんだろうか。 鈴木は何人も殺している。 それも、今の鈴木はその事を当然だと開き直っている。 鈴木の記憶だけは消しておいた方がいい。 もう時間がない。 蘭子と武の遺体を鈴木の遺体から遠ざけ、アプリからマッチと新聞紙を取り出し、火をつけ鈴木の遺体の上に投げた。 鈴木の遺体が炎に巻かれていく。 俺のしている事は間違っているのかもしれない。 だけど、今の鈴木を現実世界に戻したくない。 俺は全ての罪の責任は自分が被ると決めた。 「健一、あなたを信じているから。 みんなは沙里ちゃんが止めてくれてるよ」 耳の側で蘭子が囁く。
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