アプリの世界と現実世界との狭間

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『今から戻します』 俺は頷きながら、俺を抱きしめてくれている蘭子に声をかけた。 「蘭子、十和子さんが今から全員を現実世界に戻してくれるって」 「良かった、やっと現実世界に戻れるのね」 蘭子の嬉しそうな声が聞こえる。 蘭子には遺体の消えた生徒は記憶が消えるかもしれないという事は伝えていない。 きっと蘭子ならわかってくれる。 そう思って目を瞑った時、鈴木の怒鳴り声が聞こえてきた。 「赤井ぃ、お前どうして俺の身体を焼いだんだ!」 「すまない」 俺には謝るしか出来なかった。 「ごめんで済めば警察はいらないだろ? どういう事なんだ!」 鈴木がキレた時、足の方から身体が熱くなってきた。 「みんな、目を瞑れ! 現実世界に帰るぞ」
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