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蘭子と沙里ちゃんはアプリの中では親友だった。
沙里ちゃんの記憶が消えた事は蘭子にとってとてもつらいと思う。
「もしかして、だから、鈴木君を焼いたの?」
しばらく目を閉じていた蘭子がボソッと言った。
「俺の判断だ。 間違っていたかもしれないけど」
「……間違ってないと思うよ。 あのままの鈴木君が現実世界に戻ってきたら危険だったと思う」
蘭子は俺にだけ聞こえる声ではっきりと言った。
「ありがとう。 俺、誰かにそう言って欲しかったんだと思う」
「大丈夫。 健一は正しいよ」
蘭子が俺の肩をポンポンと叩くと、いつの間にか俺の目から涙が流れていた。
「よく頑張ったね。
健一のおかげで、みんな現実世界に戻って来れたんだよ。
本当にありがとう」
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