アプリの世界と現実世界との狭間

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「健一、助けてー」 俺が教室に入った途端、蘭子が俺の方に走ってくる。 「どうした?」 「みんな記憶が夏休みの前日までしかなくて混乱してるの」 「赤井、お前はどうして俺たちの記憶がないか知ってるのか?」 市川が俺の胸ぐらを掴み、威圧的に聞いてくる。 「俺もほとんど覚えてないんだ。 夏休みが始まって パソコンの特別授業があった日くらいまでは覚えているんだけど、その後の記憶が抜けてる。 今、カッキー先生に聞きに言ってたところだよ」 俺は市川の手をカッターシャツから離して、打ち合わせ通りに説明した。 「パソコンの特別授業? そんな事を覚えてるやつはいない。 みんな夏休みの前日の記憶しかないんだぞ」
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