アプリの世界と現実世界との狭間

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「説明は私がしますね。 こんな症例は初めてなんですが、皆さん、カッキー学園アプリって覚えていますか?」 十和子さんが前に出てきて、みんなに向かって話し始めた。 「覚えてます! 夏休みの前日は中学の卒業式でした」 「そうよね。 今、カッキー学園アプリを開いてくれる?」 全員がスマホを取り出しカッキー学園アプリを開くと、真っ黒の画面になっている。 「どういう事ですか?」 島谷さんが、驚いた声で十和子さんに質問した。 「このカッキー学園アプリを作ったのは私なの。 夏休みの前日、カッキー学園アプリが真っ黒になったって連絡をもらって、全員のスマホを見せてもらうのに、次の日、パソコンの特別授業をするという名目で学校にきてもらったんだけど……みんな、何というか、本音しか言わなくなって。 原因がわからなくて夏休み中も何度も来てもらってたのよ。 多分、原因はカッキー学園アプリなの。 カッキー学園アプリが真っ黒になってから、学校でも自宅でも荒れてしまう子が増えて……」
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