アプリの世界と現実世界との狭間

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「みんな!」 俺は家に帰る準備を始めた生徒達に呼びかけた。 全員が一斉に俺を見る。 「この事は誰にも言わないでおこう。 言っても信じてもらえないし、証明が出来る訳でもない。 言えば混乱するだけだ。 カッキー先生と十和子さんを困らせたくないし。 みんな、それでいいか?」 誰も返事をしなかったので教室に微妙な空気が流れた。 蘭子が心配そうに俺を見ている。 「わかりました。 カッキー先生をこれ以上苦しませたくないので、私は誰にも言いません」 「俺たちだけの秘密って事だな。 それでいいぜ!」 俺の気持ちをわかってくれた沙里ちゃんと酒井が同意してくれると、みんなも次々に賛成してくれて、この件はカッキークラスだけの秘密となった。 これで一段落して、生徒は1人、また1人と家に帰っていく。 「私のせいで本当にごめんなさい」 教室に残っているのが十和子さんと俺と蘭子と武とカッキー先生だけになった時、十和子さんが俺たちに頭を下げた。
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