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「健一もイケメンだよ」
まるで俺の思考を読んだように、いつの間にか隣の席に座っていた蘭子が話しかけてきた。
イケメンと言われて悪い気はしない。
「そうだよな。 わかってくれるのは蘭子だけだな」
言った後、しまったと思った。
蘭子が嬉しそうに俺を見つめている。
「えっと……その内、クラス中の女子が俺の魅力に気づくはずだから。
じゃ、俺、帰るわ」
「健一、一緒に帰ろうよ」
蘭子がカバンを取りに行った隙に、さっと教室から出て家に向かった。
蘭子が嫌いな訳じゃないけど、クラスの皆んなに蘭子と付き合っていると思われるのも嫌だ。
その時、蘭子の悲しげな顔が頭に浮かんだ。 やっぱり入学式くらい一緒に行動するべきだったかな。 いやいや、蘭子を甘やかすとつけあがるし……まっ、いいか。
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