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わたしの頬にひんやりした自分の頬を押しつけた。
「知り合いに見られなきゃいいんだろ。こんなごった返したとこ、誰も見てなんかいるもんか。何か言われたら目のせいだって言い張ってやればいい」
「…密室の中以外ではいちゃついちゃ駄目って厳重注意されてるのになぁ、立山くんのマネージャーさんに」
わたしの顔を持ち上げてそっと唇を重ねた。…ああ。
この感触、久々だから…。
「…だったら、さっさと密室に籠ろう」
奴はわたしを抱きしめたまま、大通りに向かって手を挙げた。程なくタクシーが目の前にすっと停まる。
「…○○ホテルまで」
乗り込んで、自分の宿泊場所を口にする竹田。わたしはもうあまりものを考える気も失せて、大人しく彼の肩に頭をもたせかけ、じっと目を閉じた。
今回、竹田にはホテルの部屋に泊まってもらうことにした。わたしの滞在してる場所は立山くんの所属事務所の持ち部屋で、それだけならまだいいのだが普段は立山くんその人が東京滞在中に使っているところらしいので。普段は全く気にならないが、思えばあの同じベッドでいつもは立山くんが寝るのかと思うと。…その上でこんなことをするのは、…ちょっと。
「…んっ、…あぁ…、っ」
激しくぎしぎし鳴るベッドの音。どうしても抑えられない自分の甘い喘ぎ声。…ああ、もう。
…あたし、こんな身体になっちゃって…。
「…ちゆ」
激しくわたしの上で動きながら、耳朶を柔らかく甘噛みするように囁きかける。
「すっごい、腰動いてる…」
「あっ、あっ…、だって、こんなの。…あぁん…」
…止められないの…。
お互いを貪るように腰を遣い、深く絡めあう。…ああ、本当に。
少し間が空いたから、なのかな。…すっごく。
…感じちゃう…。
「…嘉文…」
ねだるように唇を求める。深く舌を入れられ、呻く。…ああ、もっと。…もっと、すごく。…して…。
「…あっ、そんな。…締めちゃ、ちゆ。…もう、俺」
「ああっ、だって。もう。…いやん、あぁ、いくぅ…っ!」
わたしは堪えきれずびくん、びくんと大きく身を震わせ、のけぞった。その身体に闇雲にしがみつき、彼が痙攣するようにしてわたしの中で放出するのがわかった。
「…ちゆ。すき」
「うん…」
わたしも、と言いそうになるのを辛うじて抑えた。代わりにぎゅっと抱きしめ、何度もキスする。言葉をあげられなくて申し訳ない思いがこみ上げる。
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