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身体でも唇でも、確かな言葉と将来の約束以外はいくらでもあげられるのに。
「…ちゆ、なんか今日、優しいな」
竹田がわたしの髪を撫でながら呟く。わたしは彼の胸に頬を押しつけた。
「そう?」
「うん。…なんか、怖いな。ちょっと。…いっつももっと、終わるなり素っ気ないのに。今日はこんな風に甘えてくれて」
そうかな。そんなにいつも、素っ気なくしてたっけ?自分じゃよくわからない。
「久しぶりだからだよ。多分…」
適当に答えるわたしの身体を包み込むように抱き、少し冗談めかして尋ねる。
「俺の身体がなくて寂しかった?」
「…うん」
半分くらい正直に頷くと(あとの半分は、そんなこと考えるほどの余裕はなかった)、彼は小さく呟いた。
「…調子狂うなあ…」
わたしは彼の腕の中で顔を上げ、目を覗き込んだ。
「…こういうの、あんまり嫌?…らしくないと、なんか…駄目かな」
「…ちゆ。…もう」
何故か奴は絶句した。ややあって、がばっと覆い被さるようにベッドにわたしを抑えつけ、身体を改めて拡げさせる。
「え、何?…終わったばっかだよ」
「余裕だよ。…あと二、三回はできる。…続き、するぞ」
「えっ、ちょっとは休もうよ!…って、もう…。ああ…、やっ。…あん…」
わたしは目を閉じ、されるがままに身体を彼の手と唇に任せた。そして、再び深い快感を自分の身体の奥に見出すようにそれに溺れていった。
「…はぁ…」
わたしは甘いため息をついた。身体の芯が余韻でぴくぴくしてる。冗談抜きであのあと二回した。…すごい、よかったけど。
「…死んじゃうかと思った…」
「もう、その声。…エッチだなぁ、ちゆは」
何だそれ。
「普通だよ…」
どちらからともなく唇を求めあう。確かに、いつもより優しい気持ちになってるみたいだ。
何だろう。ずっと放って置いてるからちょっと申し訳ない気持ちがあるのかな。それとも、ほんの少し疚しいのか。この間吉木さんに言われたことや、最近何となく立山くんとの間に感じる微妙な空気を思い出す。 あるいは。
…わたし自身、しばらくこいつと離れていて少しは寂しかったのかも…。
身体をぴったりくっつけ合って、激しい欲情の余韻を味わう。こうしてるのもすごく好き。男のくせに滑らかな、気持ちのいい感触の肌。わたしは本当にこの身体しか知らない。
だから時々よくわからなくなる。わたしはセックスそのものが好きなだけなのか。
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