第4章 死亡宣告

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 苦笑しながら尋ねたアルティナに、ラウールも薄笑いで応じる。 「ご安心下さい。ご結婚されるにはだいぶお年を召してしまいましたが、それ相応に家格の釣り合いが取れる縁談を、幾つかご用意しておりますので」 「それはありがたくて涙が出るな」 (婚期を逃した年増で悪かったわね! 絶対、後から吠え面をかかせてやるから!)  珍しく本気で怒ったアルティナだったが、そんな事は微塵も顔に出さずに話を続けた。 「因みに、私はここに、どれだけ引きこもっていれば良いわけだ?」 「一ヶ月程は。その後、王都にアルティナ様としてお移り頂きます」 「なるほど。その間、外出は?」 「この館の敷地内で、静かにお過ごし頂きます」  にべもないラウールの言葉に、アルティナは大仰に肩を竦めてみせた。 「やれやれ、難儀な事だな。それならその間に、ユーリアに休暇をやりたいんだが」 「あの侍女にですか?」  初めて怪訝な表情を見せた彼に、アルティナが冷静に事情を説明した。 「聞いていないか? ユーリアの実家は、この領内にあるんだ。長年領内で、連絡鳥の飼育と訓練士を務めているガウスの娘だからな。その縁で彼女の母親が、私の乳母になった位だし。ユーリアが私付きの侍女になって王都に出て以来、なかなかゆっくりと里帰りをさせてやれなかったんだ。暫く動けないのだから、この機会に家族に顔を見せに行かせても構わないだろう?」 「それは構いませんが……。今の話を口外されると、大変面倒なのですが?」  言外に無理だと言ってきたラウールに、彼女は苦笑いで応じる。 「ユーリアは私が女性ながら、男性のふりをして仕官している事は既に知っているし、代々我が家に仕えてきた忠義の家系だ。今更、余計な事を外に漏らすと思うか?」 「ですが」 「だが、お前の懸念も尤もだ。ユーリアがこの話を聞いたら腹を立てて騒ぎ立てると思うから、彼女に今の話は耳に入れないまま、休暇を与えて実家に帰せば文句は無いだろう?」 「それは、確かにそうですが……」 「それなら私にあてがわれた部屋で荷物の整理をしている筈だから、彼女を呼んできてくれ。お前の前で、支障の無い様に説明すれば良いだろう?」 「……畏まりました」
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