第6章 隊長達の驚愕

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「よし、決まった。近衛軍司令官の任命は、前任者の指名と団長と司令官会議での了承があれば、即時陛下に任命して頂ける。予め、陛下への謁見の許可は貰ってある。カーネル、今から出向くから付いて来い! デニス以外の者は、このまま待機だ」 「はい!」 「了解しました」  既に根回しを済ませていたバイゼルはカーネルを促して立ち上がってから、立ったまま報告を続けていたデニスに、労いの言葉をかけた。 「デニス。急使の役目、御苦労だった」 「いえ、当然の事をしたまでです。それで皆様に、一つお願いがあるのですが」 「どうした?」 「私が使者に立った事は、くれぐれもご内密にお願いします。私自身は何ともありませんが、実家の者達はグリーバス公爵領内で生活しておりますので。この事が公爵家側にばれたら、家族がどんな嫌がらせをされるか分かりません」  真剣に訴えたデニスを見て、バイゼルも真顔で頷き、部下達に言い聞かせた。 「ああ、分かっている。皆も、気をつけてくれ。ここにアルティンの上申書と共に隊長記章と短剣を届けに来たのは、予め指示を受けていた、王都のグリーバス邸の使用人と名乗る男だ」 「分かりました」  そう口裏を合わせる事を確認したバイゼルは、早速カーネルを連れて国王の元に向かい、室内には緊張から解放された安堵感が漂った。そして役目を終えたデニスは、先程団長から残る必要は無しと言われた為、挨拶をして立ち去ろうとしたが、ここで予想外の声がかけられた。
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