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『…すいません。さっきは動揺しちゃって…まさか、出逢って間もない赤石さんに言い当てられるとは思ってもみなくて。』
俯いて話し出す林田楓。
「別にさ。恥ずかしい事じゃないでしょ。好きになったのが男だったってだけの話で。世の中、男と女しか居ない訳だし。どんな組み合わせになってもおかしく無いと思うんだよね。俺はバイだけど、どっちかって言ったらゲイの方が強めだし。でも、恥ずかしいなんて思った事無いよ。」
言ってビールをグッと呑んだ。
『…赤石さんって、優しいですよね。』
こっちを見て言った。
「好きな子には優しいよ。優しさの安売りはしないけどね。」
笑って言うと、クスッっと笑う林田楓に俺も笑う。
『何か、格好いいですね。赤石さん。』
「また、褒められた。もしかして、惚れた?」
『茶化さないで下さいよ。本気でそう思ってるんですから。見た目もそうですけど、何より中身が男らしいっていうか。堂々と生きてるって感じがします。僕には到底無理そうです。』
そう言って缶酎ハイを呑んだ。
「あのさ。楓君。楓君がそんなふうに思ってると彼氏さんが可哀想じゃない?だって、彼氏さんも楓君を男だって分かってて好きになったんでしょ?好きな人と一緒に過ごせるってのは奇跡じゃない?お互いがお互いを好きなんだよ?当たり前なんて事は無いよ。凄い事なんだよね。そう思わない?だから、自信持ちなよ。ねっ?」
言って林田楓の頭を軽く撫でた。
『…赤石さん。…そうですよね。好きだって言ってもらえるんですもんね。僕、何だか色々深く考え過ぎだったんですかね。最近、本当に彼に愛されてるのか自信がなかったんですよ。』
少し表情が明るくなった林田楓。
「何で?好きだって言ってくれるんでしょ?」
『まぁ。言ってくれるんですけどね。何て言うか…。エッチの時だけなんですよね。普段、俺の事好き?って聞けば話を反らされるって感じで。付き合い始めた頃は、聞かなくても好きだって言ってくれてたのに。』
また、少し凹みだした。
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