暫く、赤石稔です。

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水曜日は楓の休みの前日。 大体、何もなければ木曜日が楓の休みになる。 接客業だから、土日は仕事。 平日はもう一人のバイトの子と店長と交代で出るらしく。 楓の定休日が木曜日。 [了解。いつもの店でいい?] メール受信。 [いいよ。じゃあ、水曜日に。] メール送信。 楓からはニッコリマークの絵文字が返ってきた。 …楓。ごめんな。仕事なんだ。 絶対、楓には言えない言葉。 目を閉じて、楓の笑顔を思い出す。 あの笑顔を歪ませるのは俺。 楓がどんな彼でも好きだと言いながら見せる満面の笑み。 その大好きな彼氏から別れを告げられた時、楓のあの笑顔は一瞬で消えるだろう。 私情を挟んではいけない。 そういう仕事を選んだのは自分自身。 分かってる。 分かってるけど…。 【別れさせ屋】になって5年。 初めてこの仕事を選んでしまった事を後悔した。
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