暫く、赤石稔です。

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楓の事を【好き】なのかと問われれば、【好き】だと言える。 でも、それは恋愛的な【好き】ではない。 人として【好き】なのだ。 今まで俺の人生の中で楓の様な奴は居なかった。 明るくて決してめげなくて強い。 人を信じ疑う事をしない。 だからと言って、騙されやすいとかそんなんじゃない。 自分の考えはしっかり持っている。 だから、周りに流される事はない。 俺的には完璧な奴なんじゃないかと思う。 だから、楓に惹かれる。 楓の人間性に。 だけど、楓を裏切る事をする自分。 罪悪感に襲われる。 冷蔵庫に入れてあった酒を全て呑み干した。 酔わないと自分自身に潰されそうで。 仕事が終れば楓と会えなくなる。 会う理由が無くなる。 こんな仕事をしてなければ、楓と普通の友達になれたのだろうか。 いや。出逢う事は無かったかもしれない。 こういう形で出逢ってなければ、ずっと楓と一緒に居れたのに。 「…楓…悪い。」 脳裏に浮かぶ楓に呟くと笑顔の楓が俺の名を呼ぶ。 《稔さん!》 偽りの名を呼ぶ。 満面の笑みで何度も呼ぶんだ。
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