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「…楓。」
胸を突き刺された気がした。
今日のこのタイミングで楓のこの言葉は俺には酷でしかなかった。
『…やっぱり、退いたよね~。あー。言わなきゃよかった…』
俯いた楓。
「退いてない。退くはずないだろ。楓が俺と全く同じ事考えてて驚いただけ。」
言えば顔をバッっと上げ俺を見た。
「俺もね。楓、ドストライク。じゃなきゃ、あの短期間に何度も店に行かないよ。あっ。服のセンスがあの店は良いと思うのは本当だよ。だから、楓にコンビニで偶然会ったのは嬉しかったな。恋人が居るのには、少し凹んだけど。だけど、楓が言った様に俺も楓と呑み友達になれて良かったって思ってる。俺、好きだよ。楓の事。勿論、友達としてね。大切に思ってる。」
ニッコリ笑って楓を見る。
『…嬉しい。けど、照れるね。改めて言われたら。』
嬉しそうに笑う楓に胸が軋むように痛かった。
心の中では、ごめん、楓。と、本当の俺が何度も何度も言っている。
俺、ちゃんと笑えてるんだろうか。
この仕事、キツすぎる。
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