暫く、赤石稔です。

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何の達成感も無い今回の仕事。 早ければ、明日には依頼主から楓へ別れが告げられるだろう。 まして、楓は明日休みだ。 急いでいるのなら尚更早く動くだろうし。 タバコを揉み消し水を喉へと流し込みソファーに横になった。 俺も早めにここを出なければならない。 不本意とは言え、楓にここを知られてしまったも同然。 本来なら身体の関係をもつ為だけに借りているこの場所。 ホテルで済ませれば一番早いのだが、長くこの仕事をしていると過去に携わった相手に鉢合わせする事もあるために安全パイとしてマンションを借りるのだ。 楓とはそんな関係にはなるつもりは無かったから、逆にここを知られるのはまずかった。 依頼主に別れを告げられて俺に頼ってくる確率が高いからだ。 今回ばかりは計算ミス。 身体の関係をもった相手なら、別れを告げられた後にマンションを訪ねられても適当に相手をして、引っ越すからまた連絡するとでも言って消える事が出来る。 だから、そんなに慌てる必要もないのだけれど。 だけど、楓の場合そうはいかない。 楓に来られたら断れない。 いつまでも相談にのって慰めてしまう。 別にそれでも構わないのだろうが、楓に対して罪悪感が生まれた今。 パッと経ちきらなければ俺は切り替えが効かないと思うんだ。 明日にでもここを出よう。 そう心に決めて、その日はそのままソファーで眠りについた。
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