暫く、赤石稔です。

32/42
前へ
/166ページ
次へ
ソファーに座り一人項垂れる。 「…はぁ~。何やってんだ。俺。」 痛む頭を押さえながら自分の不甲斐なさに情けなくて笑えてくる。 自嘲気味に笑いながらタバコに手を伸ばす。 今回の仕事をやりだして、普段吸わないタバコを何箱空けただろうか。 空になったタバコの箱をグシャっと握り潰しゴミ箱へと放り投げた。 タバコに火を着けスマホを手にする。 不動産屋へ連絡をして出る事を伝えた。 荷物自体、そんなには無いから洋服をバックに詰め込めば直ぐに出られる。 引っ越し業者へ連絡をして、都合の良い時間帯を聞く。 さすがに今日の今では業者も無理があるのは分かっているから。 こんなに急いで出る予定じゃなかったから、前もって頼んではいなかったのだ。 引っ越し業者の都合で明日しか無理だと言われた。 まぁ。そうだろう。 他の業者にしてもそれはきっと同じ。 仕方ない。 不動産屋へもう一度連絡をして、明日の昼過ぎには出ると伝えれば、今日の午前中に解約書類を持ってこちらに出向くと言われた。 このマンションは月契約タイプの賃貸で、保証人とか身分証明書とか難しい書類は要らない。 ただ、借ります返しますってだけ。 最初の家賃が前払いで後はちゃんと月々支払いさえすれば何の問題もない。 出る時に解約書類にサインをして今月分の家賃を現金で渡せば、それで終わる。 こんな仕事には凄く都合がいい。 本来なら出張とかそういう仕事の人達が利用するんだろうけど。 使えればなんだっていい。 とにかく、午前中は不動産屋が来るから動けない。 とりあえず、洋服を詰め込もうと動き出した。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

138人が本棚に入れています
本棚に追加