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「言わなかったの?呑み友達だって。」
『…言ったよ…でも…その写真、突き付けられて…これの何処が呑み友達なんだって言われて…』
だろうな。
「俺が彼に説明した方がいい?」
書類と写真を封筒に入れながら言った。
そんな事、出来ないけど。
『…もう…いいんだ…彼はもう…僕を二度と見向きもしないって…分かってるから…』
「…だけどさ…俺のせいだよね?俺が楓を呑みに誘ったりしたから。」
そう言うと、俯いていた楓はバッと顔を上げ俺を見た。
『っちがうよっ!稔さんのせいじゃないからっ!僕が悪いんだ!』
「楓。まだ、好きなの?彼の事。」
『…分からない。』
意外な答えが返ってきた。
まだ、好きなんだと言うと思っていたから。
『…その写真。それ見たら、自分が本当に彼を好きだったのか分からなくなった。』
「…どういう事?」
『…だって。それに写ってる僕。本当に楽しそうに笑ってるし。彼に言われて当然だなって思って…。彼と会ってる時、僕は心から笑えてなかった気がする。彼に会えて嬉しいのに、それよりも不安とかが大きくて…。言いたい事も言えないし、彼の話を聞いてるだけで自分の話とか全然出来なかった。だから、彼に言われて妙に納得してしまう自分も居たりして…。でも、1年半も付き合ってたのにって…そう思うのっておかしいのかなって…本当に彼を今でも好きなのかなって思っちゃって…』
どうやら、自分で自分の気持ちが分からなくなったらしい。
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