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途端に楓は俺の胸元に顔を埋めて服をギュッっと握り締め泣きじゃくった。
これで最後。
明日で楓の前からは消えるから。
せめて楓が次に進める様に俺が出来る精一杯。
声をあげて泣きじゃくる楓をギュッっと抱き締めた。
暫く楓は泣いていて。
『…稔さん…』
鼻声で俺を呼んだ楓に身体を少し離して俯く楓を覗き込んだ。
「大丈夫?少しはスッキリした?」
言って微笑んだ。
『…ねぇ…お願い…稔さん…抱いて?』
泣き顔で俺をじっと見つめて呟く様に言った楓の言葉に固まった。
「…楓?」
…聞き違い…だよな?
『稔さん!お願い!お願いだから…』
どうやら聞き違いじゃなかったらしい。
楓は俺を押し倒し上から懇願するように言うと倒れた俺の胸元に顔を埋めた。
「…楓…正気?」
俺がそう言えば楓は顔をゆっくり上げて俺を見下ろし頷いた。
『…忘れたいんだ…だから…今日だけ…一回だけで…いいから…お願い…』
楓の涙が俺の顔にポタポタと落ちてくる。
その表情からして楓が本気なのが分かる。
「…分かった。」
言って楓の後頭部に手を廻し、グッと引き寄せた。
楓の唇に貪る様に唇を重ね舌を絡ませた。
楓の身体から力が抜けたのと同時に楓から甘い吐息が聞こえる。
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