神谷君、お仕事です。

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自分のデスクに書類を置いて、オフィスの一画に置いてある珈琲メーカーに手を伸ばす。 珈琲をカップに入れて一口飲むと後ろから耳を軽く噛みつかれた。 「…やめてくださいよ。」 冷めた視線を送る先には、ビシッっとスーツを着こなした超が付くほど美人な明奈さん。 本名かどうなのかは知らない。 『神谷~。何か反応起こしなさいよね。本当、面白くない男ね。』 言いながら明奈さんもカップに珈琲を注ぐ。 「明奈さんのする事にいちいち反応してたら身が持ちませんよ。」 デスクに戻り座ってからまた書類を手にした。 『新しい依頼?ふぅ~ん。可愛い感じの子ね。』 俺の後ろから書類を覗き込む明奈さん。 「どんなタイプが好きそうですか?」 明奈さんに書類を手渡す。 『ん~。そうねぇ。こういう子は真面目なタイプより、ちょい悪系が好きかもね。髪は明るめのブラウン。ストレートで少し長め。服装はラフな感じでVネックシャツにジーンズ。アクセにリングピアス2連、プレートトップ付きネックレス。どっちもシルバーね。ブレスには…。ん~。数珠かな。』 そう言って俺に書類を返してニッコリ笑った。 「了解です。ありがとうございます。」 書類を受け取り俺もニッコリ笑って明奈さんに返す。 『お礼はこれでいいわよ。』 言ったと同時に重なる唇。 ちゃっかりディープだ。 最後にペロリと俺の唇を舐めて離れた。 『じゃ、頑張って~。』 手をヒラヒラさせて自分のデスクに向かう明奈さんの後ろ姿を見ながら、ため息をついた。
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