神谷君、辞めていただきます。

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「…ちょっと待って下さい!」 手にしていた写真と共にバンッっとデスクに両手を叩き付けた。 『ガッカリしました。まさか、神谷君が別れさせ屋の規則を破るなんて。』 全く俺の勢いに動じる事も無く、逆に冷酷な視線を投げられる。 「…俺、ちゃんと仕事しました。この依頼主は相手とちゃんと別れたはずです。確かに、仕事終了してから身体の関係を持ちましたが、これきりです。直ぐに後始末はしましたし…」 『さっき言いましたよね?どんな理由があるにせよ、聞き入れる事は出来ないと。それに、今回のこの依頼。結構、長い期間使ってる割には身体の関係は難しかったんですよね?それで、あんな写真しか撮れなかった。結果、別れられたとしても別れさせ屋としてはどうなんでしょう。』 確かにそうかもしれない。 だけど… 「…お言葉ですが、社長。人はそれぞれ違います。毎回、同じ様な相手ばかりじゃありません。今回のこの相手は今までとは違って、依頼主に対してとても一途でした。どんなに彼が冷たくても会ってくれるだけで幸せを感じる様な人でした。彼に別な人が居るかもしれないと薄々気付いていても疑うなんてこと出来ない人でした。依頼主の相手、全部が全部身体の関係を持つ様な人ばかりじゃない!」 初めて言い返した。 清一さんに拾われてから5年。 この人に刃向かうなんて事、絶対にないと思ってたのに。
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