神谷君、辞めていただきます。

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『…では、何故こんな写真とDVDが?しかも、仕事は終わってますよね?あれですか?情が移りましたか?依頼主に対してとても一途で可哀想にでもなりました?それとも罪悪感でも沸きました?慰めでもしたんですか?』 言葉を淡々と並べながら立ち上がった社長は、俺の目の前に来て立ち止まった。 社長の言葉にまさにその通りで何も言えず俯いてしまった。 『…いずれにせよ、神谷君。あなたは別れさせ屋として不適切です。本日限りで辞めていただきます。』 顔を上げじっと社長を見た。 「…清一さん…」 期待はしてなかった。 身体だけの関係だと分かってた。 だけど…。 それでも、少し位はと淡い期待を心の何処かでしていた。 『…出て行って下さい。』 俺に背を向けて清一さんは言った。 グッと拳を握り締め出て行こうとした時。 『…後、その写真とDVD。持って行って下さいね。目障りですから。』 完全に突き放されたと感じた。 悔しくて、苦しくて、辛くて。 デスクに置いてある写真をバッとかき集め封筒にDVDと共に乱暴に入れた。 ぐちゃぐちゃに握り締めた封筒を持って社長室の扉を勢いよく開けた。 「……お世話になりました。」 立ち止まり、そう一言告げて扉を閉めた。
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