神谷君、辞めていただきます。

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浴びるように呑むとはまさにこのことだろう。 家にある酒類を全て呑んでも酔わなくて、しまいにはコンビニで大量に買い込む始末。 何も考えたくなくて、ひたすら一人で呑んだ。 だけど、疲れもたまっていたのだろう。 いつの間にか寝ていた。 今まで体験した事のない程の頭痛で目が覚めた。 起き上がるのもフラフラで。 辺りを見渡せば酒の瓶や缶があちらこちらに散らばっていた。 何も食べてなかったせいか胃も痛い。 何とか立ち上がりキッチンへ向かった。 冷蔵庫から水を取り出し乾いた喉へ流し込んだ。 それにしても頭が痛い。 薬箱を探し頭痛薬を取り出し飲んだ。 片付けもせずソファーに深く凭れ座り目を瞑る。 これからどうしようか。 そんな事が頭を過る。 あの時、清一さんに出逢わなければ俺はきっと親の敷いたレールに乗っかっていたのだろうか。 自棄になり何もかも分からなくなったあの人生の分岐点で、清一さんに出逢った。 どこまでが自分の人生で、どこまでが与えられた人生なのかすら見えなかったあの頃。 清一さんに拾われた俺は、清一さんが魅力的に見えた。 こんな人生、歩む人も居るんだと思った。 尊敬してた。
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