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アパートに戻る電車の中、今日はメールもラインもチェックしていなかったことに気付いた。会社用携帯と二台持ちなので特に困らない為だ。
まあいいや、今日は飲み過ぎた。明日ゆっくり確認しよう。今は頭が回らない。酒に、だけか?
アイツのことで目一杯になってないか?確かに俺はアイツにホレている。だけどこれまでの関係でこいつとは恋人止まりと勝手に決めてないか?
大体俺今いくつよ?30にもなってナニふらふらしてンだろう。あいつは?確か夏が来ると28じゃないか?
電車を降りてアパートに向かう間、バーで同僚に言われたことが頭の中でリピートされる。
「彼女無意識に焦れてるんじゃない?」
なかなか止まらないくしゃみ。俺のところに来たときだけ。うちに来るときのあいつはうきうきしてるように見える。帰るときまでご機嫌だ。じゃあれはやっぱり、無意識にけっ、結婚のことを?
そういえばバーでしてたのろけ話って今朝あいつが出掛けにさりげなく渡してくれたお握り弁当のことだった。忙しかったから、すげ助かったんだった。そう、そんなさりげない気配りできるあいつが、俺は好きなんだ。
ドアを開け、一息ついてから自分携帯のラインをチェックする。あ、土曜日来るのか?午前は仕事だなぁ。午後からでいい?ナニ勝手に入っていいか?
全然いいよ、お前なら。
フッとあいつが好んで食べるらしいペパーミントのタブレットの香りがした。
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