思い立ったら

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香りの元を辿ってみると、お洒落を越えて高級感さえ漂う店がどんと構えていた。よく見ると意外に男性客が入っている。中にはゴツい感じの壮年の方も見受けられる。よおし、入ってみよう。もしかしたら次の仕事のネタができるかも知れん。 足が店に向かった。 「ペパーミントの精油です。すっきりしたいい香りでしょう。」 プロのマッサージ師も御用達、有名ブランドのアロマオイル(というものの)ショップだった。 ショップのお姉さんが丁寧に説明してくれる。何でも天然植物から抽出したエッセンシャルというものでペパーミントには空気清浄効果やリフレッシュ効果があるらしい。ほうほうと聞いていたが、あまり興味がないせいか頭に入ってこない。 「あー、つまり気分転換にいいということかなあ。」 ショップのお姉さんは、そうそうと笑った。 因みにこれって食品でも同じ効果があるのかな? 「まあ目覚まし効果はあるかもですよ。タブレットによく使われていますから。」 今度彼女と来ます、なんて適当なことを言って、店を出た。 さて、プロポーズ。何て言って切り出そうか?駅に向かいながらあれやこれや考える。 ……すっかり、アロマショップのことは頭から抜け落ちていた。
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