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(何とか自分の職場まで戻ってきた)女房の場合~
慌てて戻ってきたけど。
よくよく考えたら、乙女ちゃんの携帯借りて連絡すればよかったのよね。
全然思いつかなかった。
今までこんなこと無かったのに。
何だか頭が回らない。
まあそれより。
あった。
滅多に引き出しになんて入れないのに、なんで今日に限ってこんなところに。
そういえばさっきパラ見してた手帳に書いてあったっけ。
初期には体のリズムが激変することもあるって。
これもその一つなのかな。
のんびり度が三乗になってる気がする。
わっ!
何すごいラインにメール、電話の不在着信。
取り敢えず浩司にすぐ掛けないと。
『今どこだ!』
きゃん!
「あ、職場」
凄いエコー。耳痛い。
『何階だよ?』
「えっと11階」
なんか走ってる?
『動くな!』
「はい?」
プツ、ツーツー…………。
何なの?
あ。
もしかして。
ラインの確認。
続いてメール。
不在着信。
うわ。
浩司がダントツ。次に乙女。
ごめん。
私がもうちょっと落ち着いて行動すれば。
とにかくもうここは用無し。
エレベーターに向かおう。
6時半だけど約束大丈夫かな。
浩司、ほんとごめんなさい。
あ。ついでにクーラー避けのブランケット持って帰って洗おう。確か紙袋をこの棚の上に置いたはず。
届かないなあ。
椅子に乗るか。
あ。
靴脱がなきゃ。
明日からはもう少し踵の低いのにしよう。
転ぶと事だから。
よいしょっと。
ヤバイ!
揺れる。
ひっくり返る!
「何やってんだ、バカ!」
後ろからがっちり抱えられる。
汗臭い。
でもこの匂いは。
「はえ?なんで浩司がいるの?」
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