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(あまりの展開にキョドる)女房の場合~
そっとキスされて、心臓がはねる。
嬉しい。
でも。
「なんでおでこなの?」
「なんとなく。てか、さっきつむじにキスしたら喜んだじゃねえか?」
いや、そう。確かにそうだけど!
「腹の方がよかったか?」
そのニヤリって笑うの反則!
つい
「めくった方が萌えた?」
突っ込んでしまうじゃない!
「ここじゃ冷えるから家でな。帰るぞ」
ほら靴はけ、と促され耳元で囁かれる。
『なんなら防犯カメラの前で見せつけるか?』
い、意地悪!
紙袋取ってもらってブランケット入れて、カバン持ってもらって手を引いてもらって。
何だか今日の浩司、いつもより10倍優しい。
「お姫様抱っこの方がいいか?」
「お気持ちだけで結構ですわ」
気分は女王様だし。
後で倍返しされないかしら。
あ、大事なこと。
「今日の約束」
「断るわ」
「でも」
「その、海外旅行な。
実は難しくなったんだ。
でかい仕事が入ってさ、休みが2.3日しか取れそうもないんだ。
ごめん。
近場の温泉でもいいか?」
優しいわね、ホントに。
私の妊娠のせいにしない。
「いや、お前のせいじゃないって、泣くなよ。ほらティッシュ」
また差し出されたティッシュ。
本日二回目。
私、思春期の男の子か!
「泣いたり笑ったり忙しいヤツだな。
てかそんな美那ちゃんは貴重だな」
何よ、その珍獣見るような目!
「でも俺も今日は疲れたしな……………行きたいのか?」
「………カタログだけでも」
あー、と頭をカキカキする浩司。
そうね、お風呂も入りたいよね。
かなり汗臭いし。
「ごめん」
「………行くか」
えっ?いいの?
エレベーターのドアが開く。
「どうぞ奥様」
握った手を軽く持ち上げて中に誘導される。
幸せすぎて
うっぷ。
ごめん。
つわった。
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