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指先にピクリと振動が伝わって、ドクンと鼓動が跳ね上がった。
息を詰めてじっと見据える視線の先で、友樹の手がゆっくり動いて私の指先を包んでいった。
「とも……き?」
「どうしたの? 里穂ちゃ ――っ!!」
私の視線を辿ったお母さんが瞠目して息を飲む。
「と、友樹? とも……せ、センセイ。
医師呼んでこなきゃ」
パイプ椅子をなぎ倒しながら、お母さんが病室を飛び出していく。
筋肉の落ちた細い腕から視線を上げていくと、ほっそりとした顎の上で薄い唇が弧を描いた。
これは夢なの?
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