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1人で病室に戻った私は、ドアを開ける前に深呼吸を繰り返して表情に笑みを張り付けた。
「友樹。里穂だよ。遅くなってごめんね」
ベッドの傍にパイプ椅子を置いて、いつものように彼とのお喋りを始める。
「えっと、今日は何を話そうと思ってたんだっけ?
あ、そうそう。あのね私バイトを始める事にしたの。
駅前のカフェに土日だけ入る事にしたんだけど……
シフト増やして貰おうかな……
平日の予定何にもなくなっちゃったから……」
せっかく笑って話してたのに、だんだんと瞼の裏が熱くなって鼻の奥に痺れが拡がってくる。
私は震える唇を噛みしめて、友樹の白い手を両手でぎゅっと握った。
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