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そんな叶わない願望を抱きながら、そっと顔を上げると目尻から涙が零れて彼の頬にぽとりと落ちた。
「あっ」
泣かないって決めてたのに。
一度泣いてしまえば後はもう堪えきれなくて、溢れて止まらなくなった涙が私の頬を伝っては彼の顔や枕に落ちていった。
「泣かないなんて無理に決まってるじゃん!
このまま会えなくなるなんてイヤだよ。友樹」
完全に感情のコントロールを失った私は、泣きじゃくりながら友樹の胸を拳で叩いた。
「起きてよ、友樹!! いいの?
私が他の人のモノになっても友樹は平気なの?
何とか言ってよぉ!!」
「里穂ちゃん、落ち着いて」
廊下にまで響く私の声に、彼のお母さんが慌てた様子で病室へ駆けこんでくる。
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