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「あんたは……、他人事だと思って面白がって」
「だって他人事だし」
堂々と言ってのけてクスクスと笑いだした美恵を、恨みがましそうに美子が眺めたが、少しして笑いを収めた美恵が真顔になって告げた。
「取り敢えず一ヶ月冷却期間をおいて、じっくり考えるのは良いんじゃない? 姉さんはその手の類の事、これまでまともに考えた事なんか無いでしょうし」
「あのね、美恵」
「確かにそれほど頼りにならないし、母さんみたいに安心できないと思うけど、話位はいつでも聞くから。あんまり溜め込まないでよ」
最初は冷やかし半分で絡んで来たのかと思った美子だったが、どうやら美恵なりに結構心配してくれていたらしいと分かった為、素直に頷く事にした。
「……ええ、分かったわ。その時はお願い」
「取り敢えずボケッとしてると、どこから災難が降りかかってくるか分からないんだから、気合い入れてよね」
「気をつけるわ」
続けて美恵が言い聞かせて来た台詞に、思わず(本当にそうよね)と苦笑しながら応じた美子は、取り敢えず変に思い悩む事は止めようと心に決めた。
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