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その日、由愛はドキドキして眠れなかった。
考えてみれば付き合って3ヵ月が経ったけれど休日にどこかへ行くのは初めてだ。
しかもワタルから誘ってくれたとなれば嬉しさもひとしおである。
由愛はお気に入りのワンピースに袖を通し、ワタルが来るのを待った。
10時を少しすぎたころ、彼はやってきた。
ワタルが来たのを確認すると由愛は嬉しそうに玄関へと駆けていく。
「そんなにウキウキして、これからデートか?」
すると突然声がして、振り返ると兄の圭介(けいすけ)がひょっこりと部屋から顔を出していた。
「お兄ちゃんには関係ないでしょ!」
ほんのり頬を赤らめて言うと圭介は面白そうにニヤニヤとした笑みを浮かべ、パジャマのまま部屋からこちらへ歩いてくる。
「関係あるさ。由愛の彼氏だったらちゃんと挨拶しないと!」
「わーっ!!!!挨拶なんてしなくていいからー!」
絶対面白がってる!!
圭介は昔からそうなのだ。由愛を構ってはからかって楽しんでいる。
でもそのおかげで今も仲だけは良いけれど。
「お兄ちゃんは部屋に戻ってて!」
由愛はそう言うと慌てて圭介を部屋へと押し込んだ。
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