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由愛が看板を見上げるとまさかのホラー。
私、ホラー苦手なんだけど…
しかし、言うに言えず結局ホラーをみるハメになった。
どうやらワタルはホラー映画が好きらしい。
まぁいいんだけどね、龍王君といられれば…
そう思い直すが、後に少しだけ後悔することになる。
由愛は映画が始まるや否や怖くて半ベソをかいていた。
ワタルは集中しているようで気づいてはいないようだが。
やっぱりホラーは苦手である。
そして途中、あまりの恐さにワタルの服の袖をぎゅっと掴む。
彼は一瞬、驚いたように振り向いたがすぐに視線はスクリーンへと移された。
でも実は…
ワタルは照れていた。
まるで子供のように袖をぎゅっと握っている由愛が可愛くて。
嬉しくて綻んでしまう顔は恥ずかしくて由愛には見せられない。
だから興味のないふりをしてそっぽを向いた。
内心ではこのまま時が止まればいい、と思う。
映画が終わり、劇場を出た二人は近くのファミリーレストランで昼食をとることにした。
「ホラー嫌い?」
ワタルにそう尋ねられ、由愛はギクッと肩を震わせる。
「…怖いのは苦手…かも」
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