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怒鳴り散らしてみたものの、さすがのワタルも男2人がかりで押さえつけられてはどうすることもできなかった。
動けない。
楢原が少しずつ近づく。
「お前に思い知らせてやるよ。調子にのってるとどうなるのか…」
パシッ
誰かが楢原に何か長いものを手渡した。
そして楢原はそれを高く掲げ、ワタルに向かって思い切り振り下ろす。
その瞬間にワタルはそれが何かを悟った。
―鉄パイプ!?
気がついた時には肩に激痛が走っていた。
「ゴホゴホッ」
衝撃で一瞬、息が止まるかと思った。
そしてワタルはあまりの痛みにその場で崩れ落ちる。
しかし、楢原はそれで満足する様子はなく、そのあとも幾度となくワタルを殴りつけた。
服に血が滲む。
明らかに軽い怪我ではない。
由愛は押さえつけられたまま、その様子を見せつけられ悲鳴すら出せなくなっていた。
ただただ、涙が溢れては頬を伝っていく。
もう、見たくないよ…
あまりにも悲惨な光景が目の前に広がっていた。
やがて、ワタルが動かなくなったころ楢原はやっと手を止めた。
そしてぐったりとしているワタルを蹴りつけ、満足そうに笑う。
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