家族

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「こりゃ酷いなぁ…」 気がつくと微かに知らない男の声が聞こえた。 そしてそっと目を開ける。 すると飛び込んできた光に目がくらみそうになる。 どこだ?ココ。 ベッドに横たわる自分の目の前に広がっているのは見慣れない景色。 ぼんやりとした頭で見回すとどうやら外ではないらしい。 山ほどのCDや音楽関係の雑誌、ギターなどが無造作に置かれたどこかの部屋。 そんな中、ぼやけた視界に見覚えのある女の子の姿が映る。 誰だっけ? 「あっ、気がついたみたい!」 彼女は嬉しそうにオレの隣に座ると優しく微笑んだ。 そして次第に頭がクリアになっていく。 楠だ。 「気がついたのか?」 突然、男の声がして視線を泳がせると部屋の片隅に一人の男。 「誰…?」 「あ、私のお兄ちゃんで圭介っていうの。龍王君、意識なかったから頼んでここまで連れてきてもらったんだよ。ちなみにここはお兄ちゃんの部屋。」 「そっか…」 天井をぼんやり見つめながら記憶をたどる。 そして数時間前のことを思い出す。 自分たちに何があったのかを。
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