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「謝らなくていいよ。由愛から大体の話は聞いた。キミは一方的に殴られただけなんだろ?」
そんな風に優しく受け入れてくれる圭介にワタルは妙に安心した。
圭介とは出会って間もないというのに、まるで自分に兄ができたかのような感覚がした。
年はいくつも離れていないはずなのに彼は自分よりずっと大人に見えた。
「でも…元を辿ればオレが悪いんです。あいつらがヤバい奴らだって知ってたけど、それでもつるんでたのはオレだし…それに…」
それにいつかこんな日が来るのもわかっていた気がする。
だけどそうなることを選んだのは他でもない自分。
「それに?」
「それに…オレ、そろそろ潮時だって思ってたんです。だから、最近あいつらと距離を取ってた。それでいつかこんな日が来るんじゃないかって心のどこかでわかってた気がする」
要はただ早いか遅いかなのだ。
「でも何で急に離れようと?」
「それは…楠を余計な争いに巻き込みたくなかったから…」
そういったワタルはちょっとだけ恥ずかしそうに目を伏せた。
実は素っ気ないふりをしながらもワタルはワタルなりに考えていたのだ。
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