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きっと彼は圭介が思っていたよりもずっと真面目なのだろうと思う。
見た目こそ金髪にピアスと中学生にしては派手だが、根は素直で真っすぐ。
ちょっと悪びれているだけで本当は不良なんて似合わない優しい少年だ。
それに男なら不良に憧れる気持ちもわかる。
一度は憧れる時期があるものなのだ。
だけどやっぱりミスマッチ。
「キミ、そもそも不良なんてガラじゃないよね?」
「そうかもしれません。小学生の時までは度胸もなかったし、ケンカだってしたこともなかった」
「それなのにいきなりどうして?」
「実は…こんなこと言ったらガキだって笑われるかもしれないけど、これは親への反抗」
そういって彼はちょっと恥ずかしそうに笑った。
そしてあの日、聞きそびれた話の真相が語られる。
「うちは楠の両親とは違って普通じゃないんだ。母親も父親もすごくだらしない人で母親は働きもせずに父親の金使って遊んでばかりの生活。おまけに子供はほったらかしだし、父親は父親で家に金は入れても外に女作って帰ってこない。だから物心ついたころからオレと弟を育ててくれたのは両親じゃなくばあちゃんだったんだ…」
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