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そして数日後―
ばあちゃんは誰にみとられることもなく息を引き取った。
オレたちを残して。
ばあちゃんが死んだ日、オレと弟は目が腫れるほど泣いたよ。
だってオレたちにとってかけがえのない家族だったから。
残されたオレたちは生きるために母親を頼るしかなかった。
どうしても経済的な援助が必要だったからだ。
だらしない人なのはわかってる、それでも彼女も母親だから。
もしかしたらオレたちのために変わってくれるじゃないかと密かな期待を抱いた。
でも、人は簡単には変われない。
あの人はばあちゃんが死んでも顔色一つ変えずオレたちの目の前で言ったんだ。
『クソババアが死んでこいつらの面倒、誰が見んのよ?』って。
母親がオレたちのことをよく思っていないのはずっと前から気付いてた。
オレたちのことが邪魔なことも。
淡い期待は見事に打ち砕かれた。
それでもオレたちは母親にすがった。
生きるために仕方なかった。
もしもオレに生活するだけのお金と力があったならすぐにでも家をでて行く。
だけど子供のオレたちには行くあても、お金もない。
だからここにいるしかなかった。
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