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もーっ!
私を邪魔者扱いしてッ!!
子供じみたことをしてるのはわかってる。
でも悔しいんだもん。
私以上にお兄ちゃんのほうが仲良いなんて…
由愛はくるりと踵を返してスタスタと部屋を出て行こうとする。
別に誰が悪いわけでもないのにイライラした。
自分がこんなにヤキモチ焼きだとは思わなかった。
「由愛、行っちゃうの?」
突然、ワタルに呼ばれて振り返る。
「ここにいろよ。オレ、今日もバイトだからそんなに長くはいれないしさ」
…そりゃあ一緒にいたいのは山々だけどお邪魔なんでしょ。
由愛の表情は不機嫌なままだ。
「ほら、座って」
子供みたいに瞳をキラキラさせるワタルに由愛はまた何もいえなくなった。
惚れた弱味ってやつらしい。
そして結局は座らされてしまった。
ワタルくんはずるい。
そんな顔されたら邪険になんかできないじゃない。
それから小一時間、三人は他愛ない会話を楽しんだ。
そしてわかったのはどうやらワタルが音楽に興味を持っているということだった。
一見、音楽には興味が薄そうに見えたワタルだったが音楽は好きらしい。
ちょっと意外。
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