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そこで話に食い付いたのは他の誰でもない圭介だった。
「ワタル、音楽に興味あんの?」
目をキラキラさせる圭介。
実は圭介は音楽が好きで高校では友達とバンドを組んでいるくらいだ。
だから圭介の部屋にはCDや楽器が溢れている。
「あっちゃー…お兄ちゃん、音楽のこととなると話長いのに」
由愛はそう嘆いたが、当のワタルは興味津々だ。
そしてまた由愛は一人、蚊帳の外。
寂しくも思えたけれど、でも嬉しそうな横顔をみたら怒る気も起きなかった。
「あっ、そうだ。興味あるなら今度由愛と二人でライブ見にこいよ!」
「ライブなんてやんの!?スゲェ!行く行く!!な、由愛☆」
「えっ…あぁ、うん」
こうして由愛とワタルは後日、圭介のライブに行くことになった。
そして当日。
二人は駅で待ち合わせをして生まれて初めてライブハウスへと足を踏みいれた。
そこは市街から少し離れた裏道にひっそりと建つこじんまりとした建物の地下。
中へ入ると薄暗くて狭い、お世辞にもきれいなところではない。
なんとなく恐い印象がある。
やはり薄暗いせいだろうか?
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