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そんな一言がちょっと嬉しかった。
ライブが終わるとフロアに圭介が顔を出す。
「今日はありがとな」
そういって笑ったのはいつも通りの彼だった。
「お兄ちゃん、何か家にいるのと全然違う!かっこつけてるでしょ!!」
「そりゃオレだってかっこつける時はつけるよ」
「何か変…だよ」
「お兄様に向かってそれは酷いんじゃないか?」
ワタルはそんな兄妹の会話を聞いて笑いを堪えるのに必死だ。
本当に仲の良い兄妹だと思う。
「ワタルはどう思った?」
「オレもびっくりしたよ。別人かと思った。けど、かっこよかった」
「マジで!?」
「こうやってギター弾いてる圭ちゃんを見ててオレもギター始めたい!って思った」
「いいじゃん、始めてみたら?オレでよければ少しは教えられるし」
「うん」
そんな話をしていると圭介のバンド仲間が次々に顔を出す。
「圭介!お前、こっちにいたのかよ」
「あージュン。悪い、今日妹とその彼氏来てて」
圭介が説明すると彼らはニヤニヤしながら二人を取り囲んだ。
どうやらみんな興味津々らしい。
「マジマジ!?この子が圭介の自慢の妹?」
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