運命

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それから時は流れ、6月。 二人は進級して3年生になった。 ついに中学最後の年である。 だが、嬉しいことに今年もワタルや千里とは同じクラスになった。 相変わらず金髪で目立っていたワタルだが、この頃になるとだいぶ落ち着いていた。 態度こそ良くはないが授業にも出るようになったし、前のように荒れることもなくなった。 音楽に打ち込むことでストレスが発散されているのだろう。 前よりもずっといい顔をしていた。 それもこれも由愛に出会ったことで変わった。 そう考えると凄いことだ。 学年一の問題児を変えてしまったのだから。 おかげで由愛はクラスで一目置かれる存在になった。 戸惑いはあったがその事実は嬉しくもある。 気がつけばもうすぐ二人が付き合いだして一年になる。 早いものだと思う。 思い返せばいろんなことがあった。 だけど、それなりに楽しい時間を過ごしてる。 毎日が充実しているし、何をするのも楽しい。 いつまでもこんな日が続いてほしいと思う。 だけど…この時の私はまだ知らなかったんだ。 運命のカウントダウンはすでに始まっていたなんて―      
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