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そして運命の日―
20××年6月25日。
その日は雨が降っていた。
窓から覗く薄暗い空を見上げ、ふとため息をつく。
憂鬱な空だ。
オレはちょうどバイト中だった。
そんな時、突然に携帯電話が鳴り始める。
あっ…
マナーにすンの忘れてた!!
珍しくその日は音を消すのを忘れ、店中に携帯の音が鳴り響く。
「ワタル!携帯はマナーにしとけっていつも言ってるだろ!」
店長でいとこの達樹(たつき)は呆れたように言った。
「ごめん、タツ兄ィ」
ワタルは画面もみずに慌てて電話を切る。
しかし、再び電話が鳴り響く。
「仕方ない、電話出ていいよ」
「うん、ごめんっ!」
達樹に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、人目のつかないところで電話を取り出す。
由愛からだ。
一体何の用事だろう。
由愛から電話をかけてくることは滅多にない。
それに彼女は知っているはずだ、自分がバイト中だということを。
よほど緊急なのだろうか。
ワタルは不思議に思いながら電話に出た。
「もしもし…どうした?何かあった?」
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