キミがくれたもの

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「由愛の気持ちをワタルには知ってて欲しいんだ。あいつの初めての彼氏だしさ」 そういって圭介は寂しそうに笑った。 「実はうちさ…今めちゃくちゃなんだ。母さんは由愛が死んでからおかしくなっちゃってさ、酒浸りの生活で目を離すと死のうとしたり…酷い有様。父さんは仕事で必死になってるし、いつどうなるかわからない状態でさ。だから今のうちにワタルに会っておこうと思って」 やっぱり圭介は大人だと思った。 彼は自分より大変な思いをしている。 それなのにしっかりとした意志を持って前へ進もうとしている 自分は現実から目をそむけてしまっているというのに。 そしてワタルは恥ずかしくなる。 家族の方が辛いとわかっているつもりでいたけど、心のどこかで自分一人が辛いような気がしてた。 そんな自分はなんて子供なんだろう、と。 オレも大人にならなきゃ。 もっと強くならなきゃ。 自分は非力だ。 だけどもし圭介が苦しい思いをしてるなら少しでも力になりたいと思った。 これで恩返しできるとは思わない。 だけどオレになにかできることがあるなら… そして決めた。 「オレ、受け止めに行く」 「ありがとな」    
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